マンガ/ライトノベル
『古事記』『源氏物語』から、春画、あぶな絵まで。”タブーはないが「モラル」はある”日本の性文化はいかにして生まれたのか?橋本治著『性のタブーのない日本』を集英社新書より11月17日(火)に刊行!
2015年11月17日
歌舞伎や浄瑠璃の洗練されたエロチック表現や、喜多川歌麿の錦絵に見られる独特な肉体観など、強烈な「人間生理」とともに世界を認識していた日本人の姿が浮かび上がるが、この世界に類を見ない、性をめぐる日本の高度な文化はいかに生まれたのだろうか?西洋的な【タブー】とは異なる、国民の間で自然発生的に理解されていた【モラル】から紐解く、驚天動地の「日本文化論」。
「日本人は、たった一杯のお茶を飲むことでさえ、「茶道」という形でセレモニーに変えてしまいました。
遊郭で「遊びの便宜を図る場所」が「茶屋」だというのは、「性欲の満足」が「遊び」に変わるためには、そこにセレモニーという柱が必要だということで、安土桃山時代から江戸時代にかけて茶道を成立させ定着させた上流の町人文化人達は、その一方で「王朝文化の復興」というルネサンスめいたことも可能にするのです」 ――本文より
集英社新書『性のタブーのない日本』
[著者] 橋本 治
[発売日] 2015年11月17日(火)
[定価] 本体780円+税
[ISBN] 978-4-08-720810-8
[WEBサイト] http://shinsho.shueisha.co.jp/
■目次より
タブーはないが、モラルはある
Introduction-現代の日本に性表現のタブーはあるのか?
「性表現の自由」をうっかり語ると笑っちゃう/「性表現の規制」の中の自己規制/エロスの経済事情/成人映画と一般映画の違い/思春期的な問題/「芸術か、猥褻か」という下らない論争/逆にその方が煩わしい/「猥褻でなぜ悪い!」という問題ではない
第一章 それは「生理的なこと」だからしょうがない
世界は具体的にはじまる/「子供を作る行為」の始まり/「まぐわいしない?」とナンパする/アメノウズメの見せるもの/それをいやがる和泉式部/清少納言の場合/女であることの証明/日本のオッパイ文化/オッパイを描く歌麿の謎/英泉の描く腋毛のある女/晴と褻/自分の身体で世界を把握する/ウンコだらけの平安京
第二章 「FUCK」という語のない文化
性的タブーとはどんなことか/神様は「まだ早い」と言う/古代日本の性的タブー/タブーはないがモラルはある/率直だが卑語はない/『万葉集』の恋の歌/逢ひ見ての後の心に比ぶれば/強姦する光源氏/強姦と和姦の間の微妙な一線/顔を見せるか見せないか/いいのか悪いのか分からない平安時代/「夜」という時間の持つ意味/「顔を見せろ」は強姦と同じ/自分の肉体を自分で把握しない/丸出しの肉体表現
第三章 男の時代
少女マンガ的な『源氏物語』/肉体関係以外に他人と関係を結ぶ方法はない/女を介在させる同性愛/男に意味のない時代/藤原頼通の不思議/藤原頼通のストレス/かなりマッチョな少年愛/性的主導権と人事権/武士の時代/恋の至極は忍恋/『葉隠』の武士道原理主義/セックスさえもセレモニー/「遊女」とはなんだ/男の本音はまた違う/和歌の詠めない男達/女から男へ/和歌的日本語の限界/下品を志向する文学/近松門左衛門と女のフンドシ
■著者プロフィール
橋本治(はしもと おさむ)
1948年、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、
小説、評論、戯曲、エッセイと幅広く文筆活動を行う。
『古事記』『源氏物語』『枕草子』『平家物語』といった古典の現代語訳も多い。
『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、
『「三島由起夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、
『双調 平家物語』で毎日出版文化賞を受賞。他の著書に
『上司は思いつきでものを言う』『その未来はどうなの?』
『ひらがな日本美術史』『負けない力』など多数。
株式会社 集英社