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【特集/モノ造りにかける情熱①】『マブラヴ作戦会議』マブラヴ原作者、吉宗鋼紀氏とコトブキヤ開発陣のモノ造りにかける情熱をレポート!!

2014118日(土)にコトブキヤ秋葉原館にて開催された『マブラヴ作戦会議』。

当日午前中は若干小雨の中、50名近くの「マブラヴ オルタネイティヴ」ファンが集ったこのイベント。

 

今回、「ダブあに.jp」編集部はこの多くのファンが集った『マブラヴ作戦会議』の様子をご紹介。

原作者、吉宗鋼紀氏とコトブキヤ開発陣の、モノ造りに対する熱い思いを是非ご覧ください。

今現在、およびこれから創作活動を行こうと思っている方々には、大変参考になると思います!!

『マブラヴ作戦会議』概要

オープニングはYUUKIさんの楽曲「Do not surrender」からスタート!!

ステージ間近で生歌が聴ける機会は貴重だったのではないでしょうか。

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曲の中盤からは、参加者も総立ちで盛り上がりを見せていました。

YUUKIさんの楽曲終了と共に吉宗鋼紀氏と広報のりえねぇの登場。

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■原作者によるフリートーク。ファン目線で語る吉宗鋼紀氏。

吉宗鋼紀氏のフリートークからスタートした『マブラヴ作戦会議』。

来場者との距離が近い事もあり、まず今後の「マブラヴ」関連商品に関する意見交換がスタート。

 

コトブキヤ秋葉原館のイベントとして、出演者と来場者の距離が近く、和やかな雰囲気でした。

他では、なかなかこの距離では接する事もできなのではないでしょうか。

 

吉宗鋼紀氏よりりえねぇへLINEスタンプ化の提案があり会場は大盛り上がり。

LINEスタンプ化については、アージュ広報に要望が沢山集まれば・・・外堀を埋めて実現される可能性もあるそうです!?

 

 

■コトブキヤ企画担当野内氏、設計担当芦沢氏がゲストとして登場。

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ゲストとしてお二方がニコ生の番組に登場したのが今年6月。

その時に商品化されるでもないのに作られた「ノンスケール MiG-21」の原型を披露し、”熱いマブラヴ具合”を公にされた。

 

9月のニコ生での放送で、来場者の約90%はこの吉宗鋼紀氏のトーク内容をご存知だった様子。

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商品化の要望も強いこちらの「ノンスケール MiG-21」が公開されたのは、実は今回が初めて。

貴重な体験に、会場内で目にされた方々からも歓喜のどよめきが起こっていました。

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画面中央にうっすらと見えるグレーの原型モデル

 

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■「ノンスケール MiG-21」誕生のエピソードは深い

>吉宗氏

かつて、某フィギュア制作メーカーさんと吉宗鋼紀氏がお仕事をされていた時に、撮影の際、経年劣化で模型の関節がヘタってポーズが決められない事があり、締め切りが迫る中、なかなか上手く撮影ができない事にカメラマンの苛立がピークに達して困っていた時に、コトブキヤさんが名乗りを上げたのが始まり。

 

コトブキヤは3DのCADからの制作を行う事もあり、「戦術機」の3D起こしをゲームと連動した活用を吉宗鋼紀氏が提案し、コトブキヤが呼応する形で現在の関係性を構築。

フィギュア制作を進めて行く上で吉宗鋼紀氏の根本的な考え方として、「現在のようにホームシアターや、オーディオ機器の発展によって、アニメのBlu-ray、DVDを売る事を目的としてアニメが作られる時代、玩具を売るためのプロモーションとして作られてきたアニメが、玩具が売れなくても良いアニメを作り始めた所謂キャラクタービジネスの台頭により、しばし玩具とアニメの連動を蔑ろにしていった。」と語る。

 

「メーカーやスポンサー主導の作品から、監督、演出、シナリオライターなどのクリエイター作品に時代が移り変わってしまった事で、過去の著名作品のように長く続く作品がなくなり、刷り物やグッズを出せば売れるであろうとユーザーを軽視した作品が多く生まれてしまった。

 

 

■数ヶ月後に紙切れになるモノに誰がファンになってくれるのか・・・。

>吉宗氏

コンテンツの消費、陳腐化により、アニメに対して「●●なアニメ」はこうであるべきなどの固定概念がユーザーに生まれ、アニメに対する心のデフレ化が進行。

いま現在に至っては、通年通して親しまれているのは「仮面ライダー」シリーズや「プリキュア」シリーズだけと感じており、この両方のタイトルに共通するのは、基本的に玩具を主体としたビジネスを展開している事がポイントと語られた。

 

「玩具を造る事がアニメの動機にあり、そのために立体物がある。」

「作品ではなく、あくまでも商品プロダクトが中心になった販売計画と連動している仕掛けがあるからこそ、通年で番組がリリースできる事にユーザーも気づき始めてきている。」

この吉宗氏の一言にはアニメ、立体ファンの来場者も共感されていた様子。

 

「玩具などの立体は圧倒的な存在感、空間を占有する圧力と説得力。ロボットを起用した作品には、この立体物があるかないかが作品を長く支援して貰える分水嶺である。」

そこで、立体を一緒に作ってもらえるパートナーとして、アニメ等に出資をしてくれている縁からコトブキヤと新しい事に挑戦。ゲームと連動し、立体のCADデータをベースにした試みを行った。

そこで様々な立ち絵や、要撃級の下から見上げる臨場感ある絵や素材が沢山入手でき、手描きほどの迫力は追求できないが、動きを主体としている吉宗氏の作品には相性が良かったとの事。

 

そんな思いから、吉宗氏とコトブキヤの連携した企画が始まり、「ノンスケール MiG-21」の制作が進行。

しかし、コトブキヤ製作陣の業務の合間にコツコツと造り上げてきた立体はリリース前に作品が終了してしまうという悲劇に見舞われた。

 

今日、生放送ではなく直接ユーザーの前に登場した「ノンスケール MiG-21」。

多くのユーザーからも商品化の声が届いたこの原型が晴れてお披露目されたのだった。

 

 

■コトブキヤ開発陣による熱の入った「ノンスケール MiG-21」

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>野内氏(壽屋)

MiG-21はF-4系の機体なので、F-4に戻せるように太もも形状などを共通化できるように作った。

 

>吉宗氏

このワードを吉宗鋼紀氏が見逃さずに野内氏に

「F-4ができる?」「解釈によってはできるでは?」「コトブキヤがF-4をつくるのか?」

と来場者と一緒に「ノンスケール MiG-21」に関するトークで盛り上がった。

「マブラヴ」ファンにはとっては、今後のコトブキヤリリースに期待せざるを得ないのではないだろうか。

 

 

■コトブキヤ開発陣がプラモデル製作の妙味を語る。

>野内氏(壽屋)

基本的にプラモデルの原型制作から金型制作の段取りはこのような流れが主流との事。

 

1.形をつくってから増産を考えるようになった。

2.金型は、上下の二つを合わせられるように作成。

3.横にある場合は、その部分を分けてつくっている。

 

横面に装飾や、複雑な形がある場合、原型制作から金型制作に移行する過程で、沢山の作業工程が生まれ、パーツ毎に金型を大量に制作する必要がありコストがかかる・・・。

昔は、金型を造ってから原型の再現が出来ていない事がわかり、金型を作り直す事が多々あったと語る。

 

現在は、3Dプリンタ技術の発展によりプロトタイピングが容易にできるようになり、金型制作にかかるコストを下げる事に成功。

このプロトタイピングが出来るようになった事で、コトブキヤの最新技術と原型師の拘りが随所に反映。

実際に原型を担当された方は、「ノンスケール MiG-21」を10何種類も監修し、股関節に引き出しをつくり「関節の数は人間の数倍もある」との作中の設定を何度も作り直し、追求することによって再現するに至ったとの事。

 

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大きく引き出してぐるぐる動く姿に来場者も感嘆の声が上がった。

 

クリエイターサイドと原型制作側の駆け引きにより立体が産み出されて行く様をワクワクさせてくれたと語る吉宗氏。

特に、作品を理解した解釈による再現がすばらしいと絶賛。

 

 

■コトブキヤの立体に対する拘り

ポーズの自由度もあがっている事に喜びながら、過去のプラモデルを作った事のある人だけが分かる悩みと工夫を振り返る吉宗氏。

ポーズの自由度があがると関節の渋みがなくなり、立つ事すら出来なくなるぐらいにふにゃふにゃになる。

 

吉宗氏は、ポリキャップがそれを解消してくれ、ポリキャップがへたったときに瞬間接着剤を使って渋みをだした事を紹介。

これには来場者からも頷かれている方も多く、プラモデル作りあるあるネタを披露。

 

そんなプラモデル作りの楽しさを紹介しながら、来場者には嬉しいCADデータをコトブキヤが特別に公開。

バラライカの関節への拘りを芦沢氏が紹介した。

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■”みんながやっていない”からこそやるのが”新しいビジネスのチャンス”

>野内氏(壽屋)

プラモデルが参入する動機は単純に”プラモデル作り”をやりたい気持ちが動機である。

特に、ガレージキットを中心に制作されたコトブキヤにとって、バンダイやタミヤは憧れ。

 

当時、ガーレジキットは大量生産に向かず500~1000個作るのも大変だった。

「マブラヴ」などメジャー版権においてはガレージキットは大量生産に向かなかった。

一部のユーザーだけに限定的に行き渡る状態に寂しさを感じていたと振り返る。

そこで思い切って挑戦したところ、出来てしまった事で現在に至った。

 

>吉宗氏

この出来ないと思った事でも、どうせ売れないと思う人は沢山いても挑戦するコトブキヤのスピリッツを賞賛。

「マブラヴ」がまだ今のように形になっておらず企画書を各社に持ちかけ、「これは絶対に売れない」と断言され続けた日々。

誰もが絶対に売れないと言われた事こそ”チャンス”だと思い挑戦し続けた過去を振り返りながら、

「みんながやっていないからこそやるのが新しいビジネスのチャンスだと思った。」

 

>野内氏(壽屋)

各メーカーが出来ない事に挑戦するコトブキヤ。

情熱から商品開発が始まるコトブキヤ。

コトブキヤは現場の人がやりたいと思う気持ちを立体化のムーブメントとして実現する。

このコトブキヤの情熱が、誰もが挑戦しなかった事を成し遂げ、吉宗氏の気持ちを動かし、現在の信頼と協力の関係が生まれたようだ。

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■コトブキヤがリリースする「マブラヴ」商品への期待

コトブキヤの今後のラインナップにも注目。

Su-11,Su-15がもしかしたら立体化?

MiG-21の商品化はニコ生でも人気、買いたいとの声も上がっており、コトブキヤにもその反響は聞こえているとの事。

 

吉宗氏からは、シュヴァルツェスマーケンを立体化に合わせてアニメ化も!?

当然、コトブキヤさんがスポンサーに・・・。

そんな形で、期待が膨らむトークを交えて行われた「マブラヴ作戦会議」。

 

「マブラヴ」原作者吉宗氏とコトブキヤ、双方の「挑戦する思い」が惹き付け合った結晶は、様々なアクションと立体を産み出してきました。

今後も、この情熱がさらに醸成される事で、また新たな何かを産み出していくのではないかと期待が高まります!!

 

 

次回は、フィギュア「アイリスディーナ」にかけるコトブキヤの情熱編をご紹介いたします!!

全部で3回に分けてアップいたしますので、引き続きお楽しみください!!